日本
東アジア漢文世界の地政学と日本史書
日本
東アジア漢文世界の地政学と日本史書
- 出版社
- 和泉書院
- 出版年月日
- 2023.09
- 価格
- \6,600
- ページ数
- 288
- ISBN番号
- 9784757610750
- 説明
- 史書は漢文で書かれるべき漢字文化圏にあって、民族文字で書かれた史書『栄花物語』が出現する意義を、地政学的な視点を加えて探る。
地政学の泰斗マッキンダーの言う「世界島」の東辺は、威信言語である漢語漢文が支配する世界であった。周辺諸民族は中国から漢字を学び、それぞれの文化と制度を発展させた。例えば鮮卑や契丹、あるいは朝鮮や越南、そして島嶼部の倭と琉球であった。それらの民族の言語と威信言語との葛藤は避けられなかったし、漢化受容派と民族派との対立もあった。本書では中国正史などの史書に即してその葛藤の様相を見た。この葛藤の中でも史書は漢文で書かれるべきものであったが、民族語と民族文字で書かれた史書としていち早く成立したのは『栄花物語』であり、東アジア漢文世界で画期的であった。
本書では併せて、「国語」の語の来歴を鮮卑族まで遡り、民族語の矜恃を示す言葉であることを確認した。加えて、古代中国に由来する「国人」の語の変転を辿り、また前漢儒教に発する「列女伝」の展開が『大日本史』北条政子伝に至る意義をも考えた。