日本
六朝言語思想史研究
日本
六朝言語思想史研究
- 出版社
- 汲古書院
- 出版年月日
- 2017.09
- 価格
- ¥8,800
- ページ数
- 383
- ISBN番号
- 9784762965982
- 説明
- 六朝時代の学問思潮の深底に潜在する儒教的精神を鉤索・確定する。
【本書より】(抜粋)
本書は、中国六朝時代の思想史の一側面を照射しようとするものであり、『六朝言語思想史研究』と題する。本書の射程を示す「六朝」の語は、厳密には建康に建都した六王朝――三国呉、東晋、劉宋、南斉、梁、陳を指すのであるが、本書では研究史の通例にしたがい、「六朝」の語を「魏晋南北朝」とほぼ同義のものとして用いる。すなわち秦漢/隋唐という帝国統一時代のあいだに位置する、三国鼎立から魏晋交替期、漢人国家の南渡と五胡十六国、そして南北朝分立時代を含む約四百年間におよぶ動乱期の全体を、本書では「六朝時代」と呼ぶことにする。……本書では、六朝時代にあっては儒教が衰退したために他思想が前景化したのではなく、むしろ六朝時代の儒教が道仏あるいは老荘、文学といった文化的諸価値を積極的に含み込みながら、それらの複合体であり、かつ有機的な運動体として不定形に展開した、という思想史的仮説を提起する。そしてその実相について、本書では言語思想(合理的精神としての「言語」/形而上的至高としての「言語を超えるもの」)を基軸に据えて検討し、またとくに「文(文章)」が必ずしも近代的「文学」概念に一致するものではなく、国家の基幹を決定する正統性に関わるものであることを検証することで、諸文化の基層的部分にある儒教的エートスの究明を目指すことにする。これにより、複雑に展開する六朝思想史を新たなパラダイムのもとに一貫したものとして提示することが可能となる、とみる。