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唐宋変革期の国家と社会(汲古叢書)

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唐宋変革期の国家と社会(汲古叢書)

著者
栗原益男
出版社
汲古書院
出版年月日
2014.09
価格
¥13,200
ページ数
532
ISBN番号
9784762960086
説明
※出版年が古いので新本ですがヤケ・シミ・痛みがございます。
 今なお輝きつづける実証的論考を集大成――栗原史学の神髄を提示する。
 【本書より】(抜粋)
 本書は、二〇〇〇年九月八日に逝去された上智大学名誉教授、栗原益男先生が生前に公表された論稿から、主要な十六篇を選び、編まれたものである。
 応召されて戦傷を受け、一九四六年に復員した後も肋膜炎や肺結核に罹患されて静養を余儀なくされた先生が、唐末五代の藩鎮の権力構造に関する最初の成果を世に問うたのは、比較的遅く一九五三年のことである。しかしその後、十年ほどのあいだに、藩鎮の権力構造をはじめ、唐末五代の政治過程や在地社会の動向に関わる成果を陸続と公表されていった。本書の第二部と第三部におさめられた諸論稿がこれにあたる。やがて一九六〇年代にはいると、研究の主たる対象を、藩鎮を生みだした律令支配体制の崩壊過程に移された。第一部におさめた論稿がこれである。いずれも、兵制がタイトルになっているが、先生のご関心が、一つの支配体制を崩壊に導いた基層社会の変質にあったことが理解される。そのために、敦煌文書の読解にも取り組まれた。第一部から第三部までのこうした成果を総括する、唐後半期から五代に至る政治社会史をまとめた論稿を、序章に配した。ここには、復員後の先生が、なぜ、そしてどのように唐末五代期の研究に取り組まれたのか、が率直に述べられており、本書の序章としてふさわしいと判断したためである。
 一九七〇年代以降の先生は、後に会長も務められることになる唐代史研究会の活動と深く関わりながら、東アジア世界論にも積極的に発言されるようになる。律令国家群の成立は、唐国内における律令支配体制の破綻と辺境藩鎮の登場と時期的に重なりあい、唐から世界帝国的な性格を失わしめることになったとする。このように、先生の東アジア世界論は、律令国家群という視点を特徴とするが、さらにその後、令の個々の条文にも目を向けられ、その成果を公にされた。これらの論稿は、本書全体のタイトルとはいささかそぐわないかもしれないが、晩年の先生がもっとも関心を寄せておられた分野であることを考慮して、第四部として収録することにした。先生は、本書の第一部から第四部を構成するような実証的な論稿を発表されるかたわら、これらの内容を平易に説いた著書や概説もいくつかものされた。本書には、このなかから、やはり晩年に近い時期に書かれた概